那須与一と狂言

こんにちは。くるーざーです。

今回は、趣味で習っている狂言の、次の発表会で演じる「那須之語」という演目についてのお話。

どんな演目?

「那須之語」は、通常の狂言とは異なる、少し特殊な演目です。

どう特殊なのか、その説明をする前提として「本狂言」と「間狂言」の違いについて知ってもらいましょう。実は、そもそも狂言はその内容により「本狂言」と「間狂言」に分類することができます。

「本狂言」は、いわゆる狂言のこと。通常、狂言という名前で上演されるものはそのほとんどが「本狂言」です。

それに対して、「間狂言」は能のうち狂言師が演じるパートのことを指します。能と狂言はもともと同じ芸能から分化したもので、その関係から現代においても能の演目の一部を狂言師が担っているのです。

間狂言にも色々ありますが、たいていの場合能の前半と後半の間に出てきて能のストーリーを要約した語りを行います。

今回僕の演じる「那須之語」も、その間狂言に分類される演目で、能「八島(流派によっては屋島)」が「那須」と呼ばれる小書き付き(=特殊演出)で上演される際の間狂言です。

あらすじなど

「那須之語」では、平家物語の一節「扇の的」で描かれた場面を演じます。中学校の国語の教科書に載っているらしいので、一度は目にしたことがあるかもしれません。那須与一が船上の扇を射るあれです。

屋島の戦いのさなか、源義経は、海上に逃げた平家方より船に掲げた扇を弓矢で狙うよう挑発を受けます。義経から命令を受けた弓の名手である那須与一は、期待に応え見事その扇を射ぬいてみせるのであった――。

「那須之語」では、以上のストーリーをすべて一人で演じます。イメージとして、落語を想像してもらうと分かりやすいかもしれません。一人で何役も演じ分けねばならず、なかなか難しい演目です。

ただ、難しい分やりがいもあり、今は楽しくお稽古に励んでいます。もうすぐ本番ですし、少しでもクオリティを上げられるよう頑張ります。