前回の記事の続きで、学習に使用したコミック本「以外」を見せてみます。
判定は、「きれい」「汚れている」の二者択一問題としたバージョンを使用します。(三者択一にしたものは成績がイマイチだったので)
- なお「今回は撮影環境は整えているが、サンプル数はかなり少ないことと、アノテーション作業(どの部分が「新しい」「古い」かを示す作業)も簡素なもので実施しておりますのでご承知おきください。
用意したサンプルは「新書」「文庫本」「雑誌」です。人間の感覚に(というか、私の感覚に)近い結果になっているとおもいます。「古い」部分が出ている理由がなんとなく解る、という意味ですが、これが「本の新しい古い」という、「欲しい結論」とはちょっと違うかなぁ、と感じましたが皆さんいかがでしょうか。
なお、結果の画像は、本記事の最後に並べます。
AISVisionについてご紹介
以下は、AISVisionについての説明になります。
新大阪の「株式会社アルゴ」様でお取り扱いの商品です。AI画像認識を、さまざまなパターンを試して実現の可能性を探るのに適したソリューションだと感じました。私も興味を持って取り組むことが出来ましたので「気になる」と思われましたら、アルゴ様、またはリグレックスまでお声がけいただけたらと思います。
AISVisionの特徴
従来のルールベースの画像検査システムでは、あらかじめ決められた条件やパターンに沿って画像を解析していました。たとえば、一定の明るさ、形状、色のしきい値など、固定されたルールに基づいて「OK/NG」を判定する方法です。この方式は、単純な異常や明確なパターンの検出には有効ですが、複雑な形状や微妙な変化、さらには環境条件の影響を受けやすい製品検査においては、柔軟性に欠けるという課題がありました。
一方で、AISVisionはAI技術を活用することで、これまでのルールベース検査では実現が難しかった柔軟な判断を可能にしています。まず、AISVisionはカメラで捉えた映像をリアルタイムで解析し、異物、残留物、痕跡の有無チェックを自動で行います。従来のシステムでは、微細な異常を検出するために個別の条件設定が必要でしたが、AIなら画像全体のパターンを学習するため、さまざまな環境下でも安定した判定が可能となります。
さらに、不定形な対象物の不良判定においても大きな違いが見られます。ルールベースでは、形状が一定でない場合に誤判定が起こりやすかったのですが、AISVisionは多数の学習データからAIモデルがパターンを抽出し、対象物の特徴を柔軟に捉えます。これにより、不規則な形状の部品や製品でも高精度な判定が実現でき、たとえば製造ラインでの部品検査において、微妙な欠陥を見逃さずに検出することが可能となっています。
また、ルールベース検査は検査員の判断や設定に依存するため、人によって品質選別にばらつきが生じるという問題がありました。しかし、AISVisionはAIが一貫した基準で判断を下すため、どの現場であっても均一な品質管理が実現できます。このため、製品の信頼性向上はもちろん、顧客満足度の向上にも直結する効果が期待できます。
加えて、従来の目視検査やルールベース検査では、多数の画像を一つ一つ確認する必要があり、作業員に大きな負担がかかっていました。対して、AISVisionはAIが自動で画像を解析するため、従業員はよりクリエイティブな業務に専念でき、生産ライン全体の効率が向上する点も見逃せません。
また、導入プロセスについてもAISVisionは大きな優位性を持っています。システムは4ステップでAIモデルの作成が完了し、初心者でも直感的なUIを利用してマウスクリックだけでモデル作成が可能です。従来のルールベース検査では、細かな設定やパラメータ調整に多大な時間と労力がかかっていたのに対し、AISVisionはその点を大幅に改善し、迅速な導入を実現しています。
さらに、AISVisionでは異常検知に適した4種類のAIモデルが用意されているため、検査対象や検知したい内容に合わせて最適なモデルを選択でき、柔軟な対応が可能です。例えば、シンプルなOK/NG判定だけでなく、画像内の物体検出やセグメンテーションによる詳細な解析も実施できるため、多様な用途に対応可能となっています。
また、ハイパーパラメータの調整不要という機能も大きな強みです。AIモデルの学習時に自動で最適なパラメータを選択するため、ユーザーは複雑な設定に煩わされることなく、効率的にモデル作成ができます。さらに、学習データの数が少なくても、豊富なデータ拡張機能を利用することで、少ない画像ソースからでも十分な精度のモデルを構築できる点は、従来のルールベース検査との大きな差別化要素です。
実際の運用面においても、AISVisionは閾値変更での認識率変化をテスト可能な機能を搭載しており、モデル検証時に最適な閾値を設定することで、誤検知を最小限に抑えることができます。さらに、レポート機能によりモデル精度が視覚化され、どの部分がどの程度異常と判断されたかをヒートマップなどで確認できるため、運用後の改善ポイントが明確になります。
最後に、IntelのOpenVinoに対応していることも、AISVisionの大きな強みです。これにより、Intel製のCPUやGPU環境でも高い推論性能が発揮され、GPU不要で高速な推論が可能となります。つまり、NVIDIA製GPUを搭載していない環境でも、迅速かつ正確なAI検査が実現できるのです。
このように、従来のルールベース検査システムでは実現が難しかった柔軟性、高精度、効率性を、AISVisionはAI技術で見事に補完しています。製造現場や品質管理の分野において、人的ミスや作業負荷を大幅に軽減しながら、より高精度な検査を実現するための理想的なシステムと言えるでしょう。以上の理由から、現場の検査業務を革新し、製品の品質向上と生産性の向上を目指す企業にとって、AISVisionは非常に有力な選択肢となります。
結果画像(緑:新しい、茶:古い、という判定)















