最終回:水仙の夢は

「来年こそは、水仙が咲かせてあげたい」
そんな動機で始めた、ムラサキツメクサとの孤独な戦い。手作業では追いつかず、100均グッズを駆使して挑み、ようやく根ごと引き抜く方法を見つけたときは、ほんの少し春の光が見えたような気がしました。

写真は、雑草除去後の様子です。ご覧の通り、この部分だけ綺麗さっぱり雑草がなくなりました。根っこから抜いたので、再び生えてくることもありません!(この周辺は生え放題です。写真右下付近から右方向はびっしり生えています。)

ところが——
数週間後、植栽一帯は、無残にも“一掃”されてしまいました。

水仙の姿も、ムラサキツメクサの姿も、まるで最初から何もなかったかのように消え去ってしまいました。残っているのは刈り取り後の草のにおい。。。(いいにおいではありますが)

繰り返される「一斉雑草刈り取り」。これを止めることはできません。それでも、あの小さな蕾を信じて、根を守るように草をかき分けた日々は、無駄ではなかったと思いたいのです。

人の手で守りきれない自然があること。
そして、手をかけても報われないことがあること。
それでも「花を咲かせたい」と思ったその気持ちこそが、春だったのかもしれません。

今年も、水仙は咲きません。けれど、私の中では確かに——少しだけ、春が咲きました。