こんにちは。ぶんじゃくです。
寒い季節に恋しくなるのが、出汁が染み込んだ大根や練り物が美味しいおでんです。
家庭の味として親しまれる一方で、地域によって具材や出汁の味付けがガラリと変わる奥深い料理でもあります。
今回は、おでんの意外なルーツと、全国に広がる個性豊かなバリエーションをご紹介します。
おでんのルーツは「豆腐田楽」
今日私たちが知っている「おでん」の直接的なルーツは、室町時代に庶民の間で広まった「田楽(でんがく)」にあります。
田楽は、豆腐を串に刺して焼き、味噌を塗って食べる料理でした。これが後に「お田楽(おでんがく)」と呼ばれ、やがて短く「おでん」と呼ばれるようになったのです。
江戸時代になり、現在のおでんのスタイルに近づきます。
- 当初は串に刺した豆腐やコンニャクを味噌で煮込んだ「煮込み田楽」が主流でした。
- その後、昆布やカツオの出汁で具材を煮込み、醤油や砂糖で味付けする「関東煮(かんとだき)」のスタイルが誕生し、全国に広まっていきました。
全国のおでんバリエーション
「関東煮」をベースにしながらも、各地の食文化や特産品が加わり、おでんは多彩な進化を遂げました。
1. 東日本(関東風)
- 特徴: 濃い色の醤油出汁が特徴です。鶏ガラや豚骨を加える地域もあり、濃厚な風味です。
- 具材: ちくわぶ(小麦粉を練ったもの)や、黒くて味の染みたはんぺんなど、小麦粉系の具材が多く見られます。
2. 関西地方
- 特徴: 関東風が広まった後、関西では「おでん」という名称が定着しました。出汁は薄口醤油を使用するため、色は薄いですが、昆布とカツオの風味が豊かです。
- 具材: 牛すじやタコ、ひろうす(がんもどき)などが定番です。
3. 静岡(静岡おでん)
- 特徴: 牛すじや濃口醤油で煮込んだ真っ黒な出汁が特徴。全ての具材を串に刺し、仕上げに青のりと魚粉(だし粉)をかけるのが必須です。
4. 名古屋(味噌おでん)
- 特徴: 出汁を使わず、主に八丁味噌で煮込む、甘辛い味付けです。具材は味噌色に染まります。
- 具材: 大根やコンニャクに濃厚な味噌の味が染み込みます。
5. 沖縄(沖縄おでん)
- 特徴: 豚肉文化の影響で、出汁に豚足(てびち)が入ることが多く、非常に濃厚でコラーゲンたっぷり。
- 具材: ソーセージや葉野菜など、独自の具材が入ります。
このように、おでんは一つの料理でありながら、ルーツである田楽から形を変え、地方の特色を反映して多種多様な進化を遂げてきました。次はぜひ、ご当地おでんを味わってみてください。
今回はこの辺で。
それでは、さようなら。