マヨネーズ本舗

料理にひと味足らないと感じて調味料を足そうと思ったとき、何を足すだろうか。例えば野菜スティックやフライドポテトなら、さらに牛すじ煮込みなら。刺し身ならどうか。

この世の中、調味料は色々と出回っている。日本人だからか、個人的には後から足すときの調味料といえば醤油が思い浮かぶ。何にかけても大体なんとかなるのでベターな選択肢として信頼している。

しかし先日の経験から、ベストな選択肢を知ることとなった。いかなる料理にも合わせられる調味料は、と問われたら、正解はマヨネーズなのだ。

たべログマヨネーズ本舗

マヨネーズ本舗 facebook

大阪府 大阪市中央区 南船場にあるこのお店は、初め店名から物珍しさで客を呼ぶような、失礼だが程度の低いお店だと思っていた。料理も期待できないと思っていたが、これは間違いだった。

店外の写真だ。小奇麗だがドアの上など、マヨネーズの容器が並んでいる。マヨネーズへの思い入れからなのか、単に悪ふざけなのか判断が難しい。

”ゆったりした空間”というフレーズと、カラフルな背景が騒がしく(星か爆発か)、矛盾していて警戒する。

店内に入ると”ゆったりした空間”に嘘偽り無く、小奇麗でウッド調で落ち着いた雰囲気だった。マヨネーズ本舗という店名から、知らずに王将みたいな、油でギトついた店内を想像していたことに気がついた。写真は無い。申し訳ない。

ぐるなび 内観

(改めて見るとそれほどウッド調ではなかった)

水曜日の18時台だったためか他の客はいなかった。席につくと飲み物の注文、店の説明の後に、付き出しとして野菜三種にマヨネーズ4種のディップが出てきた。マヨネーズは”プレーン”、”カシス”、”キウイ”、”マンゴー”。

初っ端からやってくれた。これは間違いなく悪ふざけだ。悲しくもあるが、もともと話のネタのために訪れたのだから仕方ない。しかし、これは正直、不味いだろうと思った。他の人はどうか知らないが、生まれてこの方、キウイやマンゴーにマヨネーズをかけて食べたことがない。試そうと思ったこともない。毎日マンゴーを食わねばならず、飽きに飽きたとしても、マヨネーズは遠い。付けても先に砂糖とか塩だ。

しかし、食べてみたが意外といけた。マヨネーズにフルーツは合う。酸味と香りが合う。良い。

野菜もこだわったものだそうだ。美味かった。なんならマヨネーズより野菜の説明のほうが長かった。この店はネタだけの店ではないのではないかと思った。そこで色々頼んでみた。

アジの刺し身である。これには醤油マヨネーズであり、合わないこともない。ワサビは本物らしく美味しい。発見として、ワサビと醤油マヨネーズを同じ面につけるとワサビの辛味が消えるようだ。刺し身の枚数上、試行回数が少なく惜しくも試せていないが、刺し身の片面毎にマヨネーズとワサビを塗り分けることで、どちらの良さも引き出せるのではないかと仮説がたった。是非試してみてほしい。結果報告はいらない。

次は牛すじ煮込みである。刺し身もそうだが、煮物にマヨネーズはかけたことがなかったが、これも合った。これには一味マヨネーズを選択したが、これは辛すぎたし、ただただ合いすぎた。どういった流れか忘れたが、これでは無難過ぎるという話になり、突き出しのマヨネーズをかけだした。

牛すじ煮込みに”マンゴー”、”カシス”、”キウイ”、”一味”のマヨネーズをかけたところだ。人に悪ふざけ、うんぬん言えない。しかし、これも食べたら美味かった。個々に良さがあるように感じた。皆、高く評価していた。

マヨネーズは凄い。

担々麺だ。マヨネーズのムースが乗っている。ただただ美味かった。

フライドポテトには”マーマレード”マヨネーズを選択した。流石に無茶苦茶だろうと思ったが、なんてことはない、いけた。何だったら一番美味かったかも知れない。甘みと香りが爽やかで良い。

甘味もあった。美味かった。これは確かゆずのシャーベットにブルベリーのマヨネーズムースがかかったものだ。ムースは意外にマヨネーズ色が強かったがシャーベットに合っていた。甘いだけでなく良かった。他の人はプリンを頼んでいた。小さなマヨネーズの容器に入ったプリンであり、マヨネーズは使われていない。本物のマヨネーズを容器から直接吸って食べると、社会的な信用が下がる恐れが有るため断念してきた人間の欲望を、擬似的に満たしてくれるのだそうだ。うらやましかったので写真はない。一人は店の人に承諾を得て容器を持ち帰っていた。何の記念品だというのか。

まとめ

マヨネーズが嫌いな人はいないと思うが、ここまでのポテンシャルを秘めていると知っている人はどれだけ要るだろうか。この経験から僕はマヨネーズは万能なボンドのようなものだと感じた。一見合わない食材をマヨネーズが接合してくれる。キウイと牛すじ煮込みの間を取り持てるのがマヨネーズなのだ。

ただ、ここまで話が振れないように隠していたことがある。それはこのお店の料理が、マヨネーズを付けなくても美味しかったということだ。ほんま美味かった。牛すじはもとより、刺し身も野菜スティックすらプレーンで十分美味かった。考えようによっては、マヨネーズを口にすると死ぬみたいなアレルギーの人も楽しめるお店だということだ。間口が広い。

以上。